退去時に敷金を返金してもらう方法

この記事では引っ越しを控えている方に向けて、敷金で損をしないための方法について説明していきます。

賃貸契約では難しい専門用語も出てくるため、指示されるがままに署名捺印して、敷金が返ってこないのも仕方ないと諦めていませんか?

もしかしたら過去に敷金で嫌な思いをしたことがあっても、「よく分からない」「面倒を起こしたくない」などの理由で我慢していた人もいるでしょう。

実は、1年間で10,000件を超える賃貸住宅の敷金、原状回復のトラブルに関する相談が国民生活センターに寄せられており、他人事ではないのです。(※ 2017年度~2019年度のPIO-NETに寄せられた相談件数です。)

返還されるはずの敷金が返ってこなかったり、不当に戻ってくる金額が少なかったりすることもあるかもしれません。

ただ、その際に正しい知識を持っていれば、しっかりと全額返ってくる可能性は高くなります。

モヤモヤした気持ちで次の家に引っ越すのも嫌ですし、少しでも返ってくるお金が増えれば嬉しいですよね。

簡単にできる対策も多いので、引っ越しされる予定があるならぜひ参考にしてください。

そもそも敷金って何のためのもの?

まずは、敷金とは何かについて知っておきましょう。少し難しいですが、敷金について民法では次のように定義されています。

いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭

簡単にいえば、もしものときに備えて大家さんが入居者から預かっておくお金です。

例えば、家賃の滞納が続いたとき、部屋を傷つけてしまったときなどは、敷金の中から費用が出されます。

実は、民法が制定された1896年からずっと、賃貸借契約などを含む債権に関する部分はほぼ改正されずに来ました。ですが、民法が制定された当時から社会は大きく変わっており、分かりにくい部分も多かったため、改正されることになったのです。

上記は改正民法でできた新しい規定で、敷金とは何かについて定義しています。

関東では敷金という呼び方が一般的ですが、関西だと保証金と呼ばれることもあります。そのため、どんな名称であっても、家賃などの担保として預かるお金はすべて敷金とするとされているのです。

敷金はどのくらい返ってくる?

実際、どのくらいの敷金が返ってくるかは気になるところですよね。敷金の相場は家賃の1ヶ月~2ヶ月分なので、家賃月10万円なら、敷金として10万円~20万円程度を預けることになります。

民法第622条では、敷金の返還額を次のように規定しています。

受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない

例えば、引っ越しの時に壁を傷つけてしまったなら、敷金から壁の修繕にかかった費用を引いた金額が返ってくるということです。

敷金は礼金と違って、退去時、特に問題がなければ全額返ってきます。

ただし、部屋の状態や契約内容などによっては、部屋の修繕費用、クリーニング費用を引かれることもあるので注意してください。

次の引っ越しの初期費用に充てようと思っても、全額は戻ってこないことも多いのです。

敷金はいつ返ってくる?

改正される以前の民法では、具体的な返金時期の規定はないものの、一般的には退去から1~2ヶ月後というケースが多いです。

一方、敷金の返還時期についても改正民法では規定されていて、「賃貸借が終了し、かつ賃貸物の返還を受けたとき」となっています。

ただし、改正民法の施行は2020年4月1日であり、その前の契約については以前の民法が適用されるので注意が必要です。その場合は、賃貸契約書に敷金の返還時期が記載されているはずなので確認してみてください。

原状回復の線引きは?どこまでが自分の負担になる?

退去時に部屋の修繕などが不要なら敷金は全額返ってくるといいましたが、問題はどの範囲まで自分の負担になるかです。

部屋を出るときには、原状回復が必要になります。ただ、原状回復といっても、自身が入居したときの状態に戻すわけではありません。

そもそも建物などの価値は年数が経過すれば下がるものです。基本的に経年変化は大家さんの負担で、誰が、どう使っても発生するような傷み、汚れに関しても自己負担は不要なのです。

敷金から引かれるのは、入居者の故意、過失などを原因とする損傷になります。

敷金から引かれるのは入居者の故意や過失などが原因の損傷への補修費用

この原状回復において、入居者、もしくは大家さんのどちらの負担になるかの線引きが曖昧な部分もあって、国土交通省では「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を出しています。

敷金に関するトラブルが多いからこそ、このようなガイドラインが作られたということでしょう。そして、このガイドラインにあるような内容も含めて、改正民法では敷金について明文化されることになりました。

では、実際にどのようなものが大家さんの負担、入居者の負担になるのでしょうか?

以下では主なものをいくつか紹介します。

大家さん負担になる場合が多いもの

前述の通り、経年変化、通常利用の範囲内の傷み、汚れは大家さんが修繕費用を負担することになります。

例えば、以下のようなものは大家さんの負担になる場合が多いものです。

大家さん負担になる場合が多いもの

  • 家具の設置跡
  • 畳、クロスの変色
  • フローリングの色落ち
  • 家電による電気ヤケ
  • 自然光による壁の日焼け
  • 画鋲、ピンの穴
  • 鍵の取り替え(破損、紛失による場合を除く)
  • 部屋の設備、機器の故障

もちろん、ケースバイケースになる部分もありますが、基本的に以上のような項目は経年変化、通常利用の範囲なので修繕は大家さん側の負担になります。

入居者負担になる場合が多いもの

一方、次のようなものは、入居者負担になる場合が多いです。

入居者負担になる場合が多いもの

  • タバコによる畳の焦げ跡
  • 壁のヤニ汚れ
  • 不注意による畳、フローリングの色落ち(雨の吹き込みなど)
  • 通常の清掃で落とすことのできない冷蔵庫下のサビ跡
  • 結露によるカビ
  • ネジ、釘の穴
  • ペットによる壁、柱の傷

タバコ、ネジ・釘、ペットなどによる損傷は通常使用の範囲を超えているといえるでしょう。

また、普通に使っていても生じるような損傷であっても、それを放置したことで損傷が悪化した場合は、入居者負担になることもあるのです。

退去時に損をしないための7つの方法

それでは、退去時に敷金で損しないための方法を見ていきましょう。この記事では、入居前・時、入居中、退去前・時の時系列で説明していきます。

退去時に損をしないための7つの方法

入居前・時 ①もともと傷ついている箇所をチェックしておく
②契約書の特約を確認しておく
入居中 ③設備などの不具合はこまめに報告する
④余計な傷をつけないようにする
⑤部屋の備品はなくさないように保管する
退去前・時 ⑥基本的な清掃は自分で行っておく
⑦退去時の確認には立ち会うようにする

入居する前・入居時に確認すべきこと

これから引っ越しを考えている方は、少し面倒でも次の2点を行っておきましょう。

1. もともと傷ついている箇所をチェックしておく

まず、入居する前にもともと傷ついている箇所がないかチェックしておくべきでしょう。

入居者が入れ替わるときに業者による清掃は入るでしょうが、それでも新築のような状態に戻るわけではありません。損傷の具合によってはそのまま次の入居者に貸され、中には見落とされてしまう箇所もあります。

新築の物件でもない限り、よく見ると汚れている箇所、傷が残っている箇所はありますよね。

そのため、フローリングや壁に傷などがあれば、写真を撮っておきましょう。その際には、傷み、汚れがしっかりと分かり、撮影した日付も確認できる形にすると良いと思います。

以下の写真は入居時からあった壁の傷を撮影日の新聞と一緒に撮影しました。

壁に傷

可能なら管理会社や大家さんの立ち合いのもとで、一緒に確認できるとベストです。

細かなチェックは入居してからでも大丈夫ですが、早めに確認するようにしてください。また、中には管理会社などからチェックシートを渡されることもあります。

渡されない場合でも、ネットで「入居時チェックシート」、もしくは「入居時現況確認書」などと検索すればテンプレートが見つかるので活用しましょう。

※ 参考
入居後1週間以内にやっておきたいこと
賃貸経営ガイド 入居時チェックシート

2. 契約書の特約を確認しておく

繰り返しになりますが、故意、過失、または管理を怠ったことによる部屋の損傷がなく、修繕の必要もなければ基本的に敷金は全額返ってきます。

ただし、契約書に特約が記載されている場合は、国土交通省の作成したガイドラインよりも、特約の内容が優先されることは覚えておきましょう。

特に注意したいのが、退去後のハウスクリーニング代です。

現在賃貸物件に住んでいるならぜひ確認してみてほしいのですが、特約事項としてハウスクリーニング代が敷金から引かれるという契約内容になっていることが多いです。

ガイドラインに則れば、退去後のハウスクリーニング代は、大家さん側が負担すべき費用になります。

ですが、ガイドラインよりも特約が優先されるので、契約内容に盛り込まれていれば、入居者が負担しないといけません。

私も契約書を確認してみたのですが、ハウスクリーニング代、家賃が上がった場合の補填、鍵の交換費用などが特約として記載されていました。

クリーニングにかかる具体的な金額は記載されていなかったため、相場よりも高ければ話し合う余地があるかもしれませんが、そうでないなら実費が敷金から引かれるのは仕方がありません。

もし特約事項にないのにハウスクリーニング代を請求されたなら、ガイドラインに則った請求なのか確認してください。ガイドラインに違反するものだった場合、ハウスクリーニングの費用を払わなくて良いケースもあるのです。

入居中に注意したいこと

次に入居中に注意したいことを確認していきましょう。

入居中の部屋の使い方に注意しておけば、本来払わなくても良い費用が敷金から引かれてしまうのを防げるかもしれません。

3. 設備などの不具合はこまめに報告する

長く同じ部屋に住んでいると、途中で設備などの不具合が出ることもありますよね。

例えば、備え付けのエアコンの調子が悪い、いつの間にかガラスにヒビが入っていた、部屋のインターフォンがならないなどです。

生活に支障が出るものはすぐに大家さんや管理会社に相談すると思いますが、もし気にならない箇所でもこまめに報告するようにしてください。

エアコンの調子が悪いことを大家さんに報告する人

報告義務を怠り、状態が悪化した場合は入居者の負担になるケースもあるのです。

また、自然に故障したものであっても、退去時の点検で報告していなかった色々な不具合が見つかると不信感を抱かれるかもしれません。
大家さん、管理会社としては故障を放置される方が困るので、そこで遠慮する必要はないです。

4. 余計な傷をつけないようにする

基本的なことですが、住んでいる最中に余計な傷をつけないようにするのも重要です。

経年変化、通常の使用による損耗は大家さん負担ですが、それを超える汚れ、傷みがあると自分の敷金から清掃、修繕費用が引かれてしまいます。

そのため、カーペットを敷く、家具の脚にクッションをつけるなどの工夫をしましょう。

また、普段から部屋の清掃を怠らないことも大切です。多少の汚れは通常の清掃で落とせますが、それが難しい場合は、敷金から引かれてしまいます。

ときには、特約事項にハウスクリーニング代が盛り込まれていても、それとは別途、原状回復にかかる費用を請求される可能性もあるのです。

例えば、お風呂やトイレなどはカビが繁殖しやすいですよね。カビが生えるのはしょうがないことですが、それを放置して、通常の清掃では黒ずみが残ってしまうようなケースでは、別途クリーニング費用を請求されるかもしれません。

5. 部屋の備品はなくさないように保管する

退去する際に必要な原状回復には、もともとあった部屋の備品を元に戻すということも含みます。

例えば、備え付けのカーテン、シーリングライト、便座、シャワーヘッドなどを自分で変えた場合、退去時に元のものに戻す必要があるのです。

不要だからと捨ててしまうのはもちろんダメですし、失くさないようにしっかりと保管しておきましょう。

また、物によっては取り付け時、交換時に大家さんに相談すべきケースもあります。

相談した結果、「元の状態に戻せるなら良いですよ」「古いものは捨ててしまって大丈夫です」などの了承を得られると安心です。

大家さんや管理会社がどこまで細かく備品を把握しているかは分かりませんが、もともとあったものは、元に戻すようにしてください。

退去する前・退去時にすべきこと

最後は、退去する前、もしくは退去時にすべきことを確認していきましょう。

引っ越し前でバタバタしているかもしれませんが、いずれも重要なことなので、しっかりと行うようにしてください。

6. 基本的な清掃は自分で行っておく

ハウスクリーニングに関する特約があり、敷金から清掃費用が引かれてしまうとなると、「自分では掃除しなくて良いかな?」と思いますよね。

ですが、基本的な清掃は自分で行うようにしましょう。退去時の部屋はキレイな方が良い印象を与えられますし、クリーニングにかかる費用を抑えられるかもしれません。

よく見られるといわれている箇所は、トイレ、お風呂などの水周り、シンク、コンロなどのキッチン周り、玄関などです。

自分でハウスクリーニングを依頼する必要はありませんが、落とせる汚れは落としておきましょう。また、ちょっとした傷なら自分で修繕できる補修グッズなども役立ちます。

少しの手間で敷金が多く返ってくるかもしれないので、時間のある方は自分で修復できるようなグッズがないか探してみてください。

7. 退去時の確認には立ち会うようにする

引っ越しの準備で忙しかったり、タイミングが合わなかったりすると、退去時の部屋の確認を管理会社に任せてしまうこともあるでしょう。

ただ、中には本来負担する必要のないものまで原状回復費用として請求されるケースもあるので注意が必要です。

退去時の確認には立ち会うようにして、どこの修繕に、いくらの費用がかかるのかは見積書などでしっかりと把握するようにしてください。

自分1人では不安なら、知り合い、家族に頼んで一緒に立ち会ってもらうのもおすすめです。

もし最初からあったような傷、汚れの修繕費用を請求されたなら、入居時に撮影した写真やチェックシートを提示すれば請求が見直されるはずです。

また、退室点検でサインを求められるかもしれませんが、納得できない項目があればその場ではサインしないようにしましょう。

もし敷金の返還でトラブルになってしまったら?

国土交通省が作成したガイドラインがあっても敷金の返還でトラブルになることはあるでしょう。

法律によって明文化された部分もあるので、今後トラブルは減るかもしれませんが、もしものときに備えて対処法を知っておくのは重要です。

また、入居中に加入していた保険が適用できれば、修繕にかかる費用を保険で補えることもあるため確認してみる価値はあります。ただし、保険の請求には費用がかかり、ケースによっては高くつくかもしれないので注意してください。

保険以外でも敷金のトラブルを解決するための方法はいくつかありますが、共通するのはかかる時間、費用を考慮した上で判断するのが重要ということです。

納得いかない部分はしっかりと協議すべきですが、返ってくる敷金によっては、時間、お金をかけすぎるのはむしろ損かもかもしれません。

この記事では以下の5つの方法を紹介しますが、実際に行うかどうかの判断は慎重にすることをおすすめします。

敷金トラブルの解決方法

  • 他の業者に修繕費用の見積もりの依頼をする
  • 大家さんと直接交渉する
  • 内容証明を送る
  • 少額訴訟を起こす
  • 法律に詳しい専門業者に相談する

他の業者に修繕費用の見積もりの依頼をする

まず、業者の見積もりに納得がいかない場合は、他の業者に見積もりを依頼するのが良いでしょう。

いわゆる相見積もりで、もともとの見積もりが相場からズレたものなら、費用を安くできる可能性が高いです。

その見積もり結果を示せば、修繕にかかる費用が減額されるかもしれません。

大家さんと直接交渉する

基本的には管理会社が交渉の窓口になりますが、業者側と大家さんとで意見が異なるケースもあります。

業者から大家さんへしっかりと報告が行っていないこともあるため、ときには大家さんとの直接交渉も有効なのです。

この後で内容証明郵便や少額訴訟といった方法も紹介しますが、最初はメール、電話、もしくは直接会って話す方が事を荒立てにくいでしょう。

また、もしものときに相談しやすくするためにも、普段からしっかりと挨拶しておくことも重要だと思います。

法律、ガイドラインに則って判断されるのが原則ですが、どこまで貸主側が負担するかは大家さんの意向も影響します。

大家さんもトラブルは望まないので、普段から良好な関係を築いていた方が問題の解決は早いかもしれません。

内容証明を送る

内容証明とは、いつ、どのような内容の文章を、誰から、誰へ出されたのかを証明できる郵便のことです。

裁判になった場合にも証拠にしやすいため、ガイドライン、法律に則り負担する必要がないものまで請求されていることを内容証明郵便で管理会社などに送ってください。郵便局の窓口、もしくはインターネットのe内容証明というサービスで手続きできます。

内容証明郵便なら受け取った管理会社、大家さんからするとプレッシャーになると思います。

敷金返還に関する内容証明は、ネットで検索すれば雛形が見つかるはずです。その雛形を元に作成していけば、あまり難しくないでしょう。

※ 参考
日本郵政株式会社 内容証明
LEGAL MALL 敷金が満額返還されるためのポイント2点を弁護士が解説!
敷金返還.com 【敷金返還請求】自分で内容証明郵便を作成したい方へ!【テンプレ付】

少額訴訟を起こす

もし内容証明まで出しても解決できなかったなら、少額訴訟という選択肢もあります。

少額訴訟とは60万円以下の金銭の支払い請求を目的とした訴訟で、手続きが早く、申し立てにかかる費用も安いのが特徴です。

少額訴訟とは60万円以下の金銭の支払い請求を目的とした訴訟

少額訴訟は比較的カンタンな手続きなので、専門的な知識がなくても問題ありません。簡易裁判所で行うため、そこの窓口で申し立てについての相談も可能です。

ただし、原則1回で判決が出ますが、敷金を返還してもらうには、自身の主張を認める判決が出る、もしくは和解によってお互い妥協できるラインで合意する必要があります。

個人で取る解決策としては最終手段になるでしょう。

※ 参考
裁判所 敷金返還請求

法律に詳しい専門業者に相談する

自分で解決するのが難しいときは、専門業者に相談しても良いでしょう。

例えば、法律事務所に先ほどの少額訴訟の手続きを依頼することもできます。

また、法テラスなら敷金の返還に関する相談を受けてくれますし、敷金返還でのトラブルを専門に扱う業者もいます。

業者に手続きを依頼するとなると費用がかかるため、費用対効果を見ながら判断してください。

※ 参考
日本司法支援センター(法テラス)
東京都行政書士会 賃貸住宅問題相談センター
敷金相談センター

敷金なしの賃貸物件に引っ越すときの注意点

敷金に関するトラブルを知ると、「最初から敷金なしの物件に住んだ方が良いのかな?」と思う人もいるでしょう。

引っ越しの初期費用を抑えるという意味では、敷金なし、礼金なしの物件はおすすめです。

ただし、敷金なしの物件の方がお得とは限りません。敷金がない代わりに、家賃に割高になっていることもありますし、退去時の原状回復にかかる費用は結局請求されます。

敷金はあくまでも預けているお金であり、全額返ってくることもあるので、敷金なしにあまりこだわる必要はないと思います。

【まとめ】敷金で損しないためにはガイドラインの確認が重要!諦めず交渉しよう

私は今まで3回ほど引っ越しを経験していますが、特約になっていた清掃費用などを除けば、敷金の全額が返還されています。

部屋の使い方などにもよると思いますが、運が良かった部分もあるでしょう。

もし管理会社がガイドラインに違反していて、本来は払う必要のないものまで請求されていたなら、その通りにお金を払っていたと思います。

民法が改正されたことで敷金に関するトラブルは減るかもしれませんが、敷金とは何か、どのような契約になっているか、どこまでが自己負担になるかを知っておくことは重要なのです。

納得できない部分があれば、しっかりと伝えることで意外とすんなり問題が解決するかもしれません。

無知につけ込むような業者もゼロではありませんので、そのときに、ガイドラインの存在を知っているかどうかで相手の対応は変わってきます。裁判になればガイドラインに則った判決が出る可能性は高いですからね。

敷金が思ったように返還されない場合、まずは見積もりの内容を確認しましょう。そして、法律、ガイドラインにそったものかをチェックして、おかしな請求があれば管理会社や大家さんと交渉してください。

それでも上手くいかないなら、内容証明で敷金の返還を請求します。ここまでやっても対応してもらえない場合は、少額訴訟という方法もあるのです。

かかる手間、お金から費用対効果を考える必要はあるものの、ガイドラインと異なる請求を管理会社、大家さんと話し合うくらいまでは十分にやる価値があると思います。

それ以上の対応は敷金の額にもよりますが、よく分からないからと泣き寝入りする必要はないのです。

敷金に関して正しい知識を持って損をしないようにしましょう。